逆流性食道炎

逆流性食道炎とは

胃痛 胃もたれ 胸焼け 吐き気胃液や胃の内容物が食道に逆流することで、食道が炎症を起こした状態を逆流性食道炎と言います。胃液は強い酸性のため、食道粘膜が荒らされて胸焼けや胸の痛みなどの症状が現れます。食生活の欧米化などを主な原因として、昨今では罹患者が増加傾向にあります。

逆流性食道炎の症状

胸やけ

胸やけや胸が締め付けられる感じの痛みが現れます。

呑酸

胃液が口まで上がり、酸っぱいゲップが出ます。

口内炎・喉の痛み

胃液が逆流し、喉や口腔内に炎症を起こし、口内炎が多発します。声が枯れる、飲み込みづらいなどの症状が現れます。

喘息・咳

胃液が喉や気管支を刺激するなどで、咳や喘息が起こることがあります。

その他

喉の違和感・前胸部の違和感・不快感が起こることがあります。

逆流性食道炎と合併症

バレット食道

繰り返し胃酸が逆流することで、食道粘膜の扁平上皮が胃の粘膜に似た組織(円柱上皮)に変質してしまう状態をバレット食道と言います。これによって、食道がんに進行するリスクが高くなるため、注意が必要です。

睡眠障害

胃酸の逆流によって、夜中何度も目を覚まし寝付きが悪くなるため、昼間強い眠気に襲われる状態を睡眠障害と言います。横になる体勢によって、胃酸の逆流など逆流性食道炎の症状が強くなることで、睡眠が阻害されてしまいます。

逆流性食道炎とストレスについて

逆流性食道炎とストレス心配や緊張、不安などをはじめ過度のストレス状態が長く続くと、自律神経が乱れてしまいます。このため、過剰に胃酸分泌が起こり、逆流性食道炎を引き起こしてしまいます。過度のストレスは、あらゆる病気の発症や悪化を招くとされているため、上手にストレスを発散し、溜め込まないことが非常に大切です。

逆流性食道炎と食道がんとの関係

逆流性食道炎の発症に加えて、近年では食道がんの罹患者も増加傾向にあります。症状は、非常に似ていて胸の違和感やつかえ感などが現れます。また、逆流性食道炎が重症化すると食道がんを発症しやすいとされるため、注意が必要です。最近では、定期的な内視鏡検査の普及や浸透によって、早期の食道がんの発見が増え、内視鏡的治療で済む方が増加しています。胸やけなど気になる症状がある方は、一度当クリニックまでお気軽にご相談ください。

以下のような、生活習慣のある方は、特に注意が必要です。

  • 習慣的に飲酒する方または、飲酒すると顔が赤くなる方
  • 喫煙する方
  • 刺激の強い食事が好きな方、熱い食事が好きな方
  • 野菜や果物をあまり摂取しない方

逆流性食道炎の原因

通常、食道と胃の間にある下部食道括約筋という筋肉が、胃液や内容物が逆流しないように締まっていますが、加齢や肥満・猫背などの姿勢などが原因で下部食道括約筋の機能が低下してしまい、胃液が食道にまで逆流してしまいます。食生活の欧米化を原因とするほか、過度のストレスや逆流に伴う粘膜炎症などによる食道の知覚過敏が原因とされています。

逆流性食道炎になりやすい方

リスクが高い食事習慣・生活習慣がある方

  • 便秘傾向の方
  • 食べ物をあまり噛まないで飲み込む方
  • 早食いの方
  • 喫煙習慣のある方
  • 過度な飲酒習慣のある方
  • 食べ過ぎや飲み過ぎた後にすぐ横になる方

リスクが高い姿勢習慣・体型の型

  • デスクワークや庭仕事・畑仕事などで長時間前かがみの姿勢
  • 肥満傾向の方
  • ベルトやコルセットで腹部を締め付けている方
  • 妊娠中の方
  • 加齢によって背中が曲がっている方

逆流性食道炎と禁煙・飲酒との関係

逆流性食道炎と喫煙

たばこの成分であるニコチンは、胃酸分泌を活発にします。胃酸が過剰に分泌されると、逆流を起こしやすくなります。さらに、喫煙することで唾液分泌量が下がり、逆流した胃酸によって食道が傷つきやすくなります。

逆流性食道炎と飲酒

逆流性食道炎と飲酒アルコールは、下部食道括約筋の機能を低下させてしまいます。このため、胃酸や胃の内容物が逆流しやすくなります。また食道の蠕動運動が低下するため、食べ物が食道に溜まりやすくなり、逆流性食道炎を起こします。また、炭酸の入ったアルコールは、胃の内圧を上げ、胃酸の逆流を招きます。

逆流性食道炎の検査

逆流性食道炎の診断方法は、大きく2つに分類されます。1つは、症状から診断し、2~4週間ほど薬物療法を行います。胃酸分泌を抑制する薬剤を内服します。難点として、同じ症状でも胃潰瘍や胃がん・食道がんなど重篤な疾患だった場合でも、一時的に症状が改善することで、診断が遅れる点です。
もう1つは、胃カメラ検査を受けることです。胃カメラ検査では、胃粘膜を直接観察できるため、胃や食道粘膜の状態を正確に把握できます。当クリニックでは、胃カメラ検査を受けることをお勧めしております。

逆流性食道炎の治療

生活指導

これまでの食生活の見直しから始めます。胃や内容物が逆流しにくいように、食後すぐに横にならないことも重要です。前かがみの姿勢やベルト・コルセットなど、腹圧がかかる姿勢も避けましょう。逆流を起こしやすい食品には以下が挙げられます。

など

薬物療法

逆流性食道炎の治療胃酸分泌を抑える薬、胃・食道の蠕動運動を亢進させる薬・胃や食道粘膜を保護する薬などを用いて薬物療法を行います。現在の逆流性食道炎の治療は、主に薬物療法を行っております。その他、酸分泌抑制剤と併用することで、治療効果が高まるなど、患者様の病状や重症度などを十分に考慮して、相談しながら処方を決めております。

外科的治療

薬物療法を行ってもなかなか効果が見られない場合や、食道炎がさらに重症化した場合は、手術治療を行うことがあります。食道が狭くなる・繰り返し出血する場合も同様、手術が検討されます。ただし、侵襲が強いため、内科的治療を十分行った後に慎重に検討されます。当クリニックでは、外科的治療が必要な患者様には、提携する医療機関へご紹介させていただいております。

著者紹介

荘園内科クリニック 院長  小畑雅寛

資格・所属学会

  • 日本内科学会 認定医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医・九州支部評議員
  • 日本消化器病学会 専門医
  • 日本肝臓学会 専門医
  • 日本膵臓学会
  • 日本胆道学会

略歴

  • 大分県立中津南高校卒業
  • 熊本大学医学部医学科卒業
  • 熊本地域医療センター 消化器内科
  • 熊本労災病院 消化器内科
  • 愛知県がんセンター中央病院 内視鏡科・消化器内科
  • 熊本大学病院 消化器内科
  • 熊本市民病院 消化器内科
  • 荘園内科クリニック

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